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『ふわかわ台詞集』
話者設定:ロリカワボイス
シチュエーション:日常のふわふわ可愛いひととき
真夏の夜風には、ほのかに焦げた草の匂いが混じっていた。
高架下の空き地。廃車になったトランクの上に腰掛け、僕とリクは炭酸飲料の缶を傾けている。星空を見上げるリクの横顔は、夜の闇に沈みそうなほど淡く透き切っていた。
「僕の星ではね、あの銀河を『記憶の川』って呼ぶんだ」
リクが指さしたのは、夜空をどこまでも縦断する天の川――ミルキーウェイだった。
「またその話かよ」
僕は笑い飛ばそうとしたが、缶を握る手がわずかに震えた。リクがこの町に転校してきたのは、高一の春。無口でどこか浮世離れした彼と、部活にも馴染めず浮いていた僕が打ち解けるのに、時間はかからなかった。二人で自転車を漕いで海を見に行ったり、深夜のファミレスでくだらない未来の夢を語り合ったりした。あの眩しい日々は、間違いなく僕の青春のすべてだった。
しかし、リクが時折見せる悲しげな瞳と、彼が口にする「遠い故郷」の話が、ただの冗談ではないことを僕はどこかで気づいていた。
「急でごめん。でも、迎えの船がもうすぐ来るんだ」
リクがポケットから取り出したのは、見たこともない滑らかな金属のデバイスだった。彼が小さなボタンを押すと、空中に青白いホログラムが浮かび上がり、光の粒子がミルキーウェイに向かって束のように伸びていく。
「嘘だろ……。本当に行くのかよ? ここにいろよ。来年は一緒に受験して、東京に出て、また二人でアパート借りて暮らすって言ったじゃないか」
情けない声が出た。視界が急速に滲んでいく。リクはゆっくりと首を振った。
「君と過ごした二年間は、僕の長い寿命の中でも一番輝いていた。でも、僕の身体はもう、この星の環境に耐えられないんだ」
彼の指先が、光の粒子のように少しずつ解れ始めていた。別れの時が、僕たちの頭上から容赦なく降り注いでいる。
「行くなよ……!」
僕はリクの腕を掴もうとしたが、その手はすり抜け、夜気だけを抱きしめた。
「泣かないで、レン。ミルキーウェイを見るたびに思い出してほしい。僕たちは遠く離れても、同じ光の川で繋がっている」
空から静かな光の柱が降りてきて、リクの体を包み込んだ。彼は最後に、いつもの眩しい笑顔を僕に向けた。
「さようなら、僕の親友」
光が天へと吸い込まれ、あとには静寂だけが残された。トランクの上には、半分残った炭酸飲料の缶。僕は袖で目元を強く拭い、果てしなく広がる天の川を見上げた。悲しさの奥で、確かに胸が熱かった。
あの光の川のどこかで、彼が僕を見下ろしている。僕は大きく息を吸い込み、夜空に向かって力強く手を振った。
